スチームパンクファッションとは
さまざまなギアがついた個性的な洋服
機械仕掛けの時計の歯車や、ぜんまい仕掛けの機会の中身のようなアクセサリーなどなど、独特な装飾でデコラティブなお洋服たちがあります‥それを「steampunk fashion (スチームパンクファッション)」と呼んでいます
独創的なデザインと手の込んだ作りに、誰もが見惚れてしまう。そんなスチームパンクファッションや、スチームパンクの世界観は、1980年代のパンクムーブメントをベースに生まれたファッションやカルチャーの一つです
スチームパンクとは一体どんなカルチャーや世界観なのか?
スチームパンクファッションとは、一体どんな特徴があるのか?それらを解説したいと思います
スチームパンクとは?
スチームパンク(略してスチパン)は、19世紀の産業革命を舞台とした架空の世界をイメージしたスタイルで、「スチーム(蒸気機関)」と「サイバーパンク」を組み合わせてつくられた造語です。
異世界ファンタジーのライトノベルや、アニメが、流行していることから、、最近はスチームパンクな世界観が再注目されています。
スチームパンクはその名の通り、スチーム(蒸気機関)を主な動力源とした設定、イギリスのヴィクトリア朝と呼ばれる時代の雰囲気を持っている点が大きな特徴です。
イギリスのヴィクトリア朝やエドワード朝の時代、アメリカでいえば西部開拓時代、日本でいえば明治時代~大正時代頃の近代化を推し進める文明開化から大正ロマンの雰囲気時代に、飛躍的に蒸気機関が発達したというイメージで、コンピューターなどが発明されずに、さまざまな物事を計算などで解明したり‥、現代から見ればアナログ感たっぷりなのに、機械的な技術が飛躍底に発達して高度なことを成し遂げることができることから、未来的とも言える‥レトロフューチャーな世界観をもっているのが「スチームパンク」です
スチームパンクファッションの語源は?
steampunk 編み上げVネックブラウス スチームパンクファッション
古典SFの世界観として人気のスチームパンクですが、今はファッションとして人気が高まっています
スチームパンクという言葉の由来は?
スチームパンクの世界観‥それは、蒸気機関の力が動力のメインとして進化した場合の、仮想未来のSF未来の世界観。
もしくは今の世界のパラレルワールドの世界です
スチームパンクの世界では、蒸気機関は最上の動力。蒸気機関の力で電力が生まれ、様々な科学の道具が生み出され、活用されています。
SF世界でありながら、どことなくレトロなスチームパンクの世界観。ビクトリア時代に産業革命が起きて、世界が一気に発展する機会を得た時代を背景として、1980年台に書かれた小説をベースに生まれました。
1980年代といえば、イギリスではパンクムーブメント全盛の時代。
1970年代後半にロンドンで始まった、パンク/ニュー・ウェイヴ・ムーヴメントでは、セックスピストルズやザ・クラッシュ、ラモーンズなどのパンクバンドが世界中を震撼させました。
今まであった価値観を壊して、破壊の衝動を表した、自国の王室、政府、大手企業、ロックシーンを攻撃した歌詞等、反体制派の精神を盛り込んだ歌詞やパフォーマンスが、パンクムーブメントの特徴なのですが、ファッションにおいても、斬新なファッションを打ち立てて、新しい価値観を設立しました。安全ピンや、髪をツンツンに立てる、破れた洋服に、zipperのついた服など、ファッションデザイナーのヴィヴィアンウエストウッドがパンクファッションの基本形を作り上げました。
スチームパンクとパンクファッションの関係について
パンクファッションは音楽から生まれましたが、「パンク」という挑戦的なマインドを持った他のカルチャーがそこからいくつも派生しました。
その中の一つが、「サイバーパンク」であり、サイバーパンクからさらにレトロフューチャーに派生したのが、「スチームパンク」と呼ばれるようになりました。
サイバーパンクは映画で言うなら『ブレードランナー』や『ターミネーター』のような未来の世界観
誰もみたことのない未来の世界を描いた作品でありながら、構造・機構・体制に対する反発(いわゆるパンク)や反社会性を、主人公の言動や作品自体の主題の一つとしていることが特徴です。
1980年代、様々なSF作家がヴィクトリア朝を舞台にしたSF小説を書いていた頃、SF作家のK.W.ジーターは1987年にSF雑誌「ローカス」に掲載された手紙のなかで、以下のように書いています。
個人的には、僕らが書いているようなイカれた歴史のヴィクトリア朝ファンタジーを上手く言い表わせる言葉があればすごくいいなと思います。その時代にふさわしいテクノロジーを表す名前を適当に使えばいいのか……例えば、スチームパンクとか?
そのようにして、スチームパンという言葉は生まれました
スチームパンクファッションとロリータファッションの違いは?
レトロフューチャー感が魅力のSFジャンル「スチームパンク」その世界観をファッションで表現した「スチームパンク」は、ロリータファッションとは違って、自由な世界です。
ロリータファッションは、ジャンルが多岐に渡るものの、スタイルにはルールがあり、肌は過度に見せない方が良い、パニエを重ねばきしてボリュームを出すなど、ある程度のルールが決められています。
また、中世のロココや、ゴシックなどの様式美を基調とするロリータファッションは、淑女であるため、肌を見せないことを基本としてタイツやソックスを履いたり、ノースリーブでジャンパースカートを着用しないなどのルールが存在します。
しかし、スチームパンクはたいへん自由なファッションなので、自由なアイデアでカスタマイズしたファッションを楽しむことができるのです。
スチームパンクファッションの特徴とディテールについて
- ビクトリア朝とエドワード朝の影響: スチームパンクは、19世紀後半から20世紀初頭のビクトリア朝およびエドワード朝のファッションをベースにしています。この時代の洋服スタイルやアクセサリーをモチーフにしています。
- レトロフューチャー: スチームパンクは未来的な要素も含みますが、それが19世紀の技術とデザインと融合したものです。レトロフューチャーとして、当時の機械技術や工業製品が取り入れられます。
- ギアや歯車などの装飾: 時計の歯車やギア、蒸気機関のパーツなどの装飾がよく見られます。これらのアイテムは、服や帽子、アクセサリーに取り入れられることが一般的です。
- レザーとブラス(真鍮): レザーアイテムや真鍮の装飾がよく使われます。これらは、スチームパンクの服やアクセサリーに質感と重厚感を与えます。
- レースとフリル: ビクトリア朝の影響を受けて、レースやフリルなどの女性らしい要素が含まれることがあります。
- 複数の層やレイヤリング: スチームパンクの服は、複数の層を組み合わせたレイヤードスタイルが特徴的です。ベスト、ジャケット、コルセット、スカートなどを重ねて着こなすことが一般的です。
- 帽子とゴーグル: 帽子もスチームパンクスタイルには欠かせないアイテムです。トップハットやストーブパイプハット、アヴィエーターハットなどが人気です。また、ゴーグルはスチームパンクのアクセントとして頭部に装着されることがあります。
スチームパンクと映画やアニメの世界
古くよりスチームパンクは映画や小説などに大きな影響を与えてきましたが、日本のカルチャーにおいてもスチームパンクの世界観を活かした作品が数々生まれています。その代表作として大友克洋監督が手がけたアニメ映画「スチームボーイ」、2016年に放送されたテレビアニメ「甲鉄城のカバネリ」は、スチームパンク好きはもちろん、そうでない人からも大きな注目を集めました。
最近の新傾向では、電気化学が発展しなかった理由は、あるいは以前は発展していた化学の世界が、何らかの理由で廃れてしまったという仮定の未来が舞台となる場合もあります。
近年スチームパンクの世界観が注目されている大きな理由の一つが、AIの進化による、未来の世界に対する危機感からと言われています。
なぜなら‥
それは、映画「マトリックス」の世界を思い浮かべてください
AIに支配される未来が到来し、ロボットやAIを打ち滅ぼした後の世界。
chatGPTなどの人工知能が、毎年10倍もの進度で成長している現在、
電気が通る場所には、AIやロボットによる監視や制御が行われてしまうため、人類はあえて、電気を封印して生きる道を選んで、蒸気機関や、歯車などのアナログな化学を極めて生きるという設定が新しく生まれています
未来のスチームパンクワールドはAIの進化によって引き起こされる
当初こそスチームパンクは、サイバーパンクをそのまま19世紀へ舞台を移動させたジャンルではありましたが、やがて「人々が徹底的な管理下にあるディストピア要素」が薄れると同時に、独自の世界観を確立していきます。その世界観とは、「蒸気機関がメインの動力源であり続ける未来」というもの。一般的に、SFの題材となる未来といえば「現在から想像した未来」ですが、スチームパンクが題材とするのは、過去の要素を併せ持った未来」なのであり、人々はスチームパンクが持つ、「レトロフューチャー感」に魅了されているのです。